募集に際して私が1996より3年間スウェーデン・イェーテボリ大学歯周病専門医コースで学んだことと、その後日本でどのように治療してきたかをお伝えします。

北海道大学歯学部卒業後、東京医科歯科大学顎口腔機能治療部（補綴）に3年、その後ペリオに興味を持ち、都内歯周治療に熱心な医院と日本大学松戸歯学部歯周科に勤務しました。

イェーテボリ大学コースの最初の1年間は臨床ではスケーリングです。授業もありますが、臨床・授業半分のコース内容でした。ペリオの基礎やそれにまつわる授業で論文を読みそれをまとめる内容です。

スケーリングはある程度日本でやっていたので問題ないとはじめは考えていました。ところが実際には予想と大違いでした。

配当される患者はスウェーデン人ですが、移民やアジアの人もいます。周りの開業医から歯周治療依頼で紹介されてきます。

スウェーデン人は英語もほぼ分かるので、もし伝わりづらいならそばにいる衛生士が通訳してくれます。

治療一コマ1.5時間で、ＴＢＩの染め出しから始まります。その後注射をしてスケーリングにうつります。1時間ほどで6分の1顎終わると衛生士を呼びに行きます。歯石がとれているかチェックを受けます。

最初は衛生士が取り終わったと思われる根面から残った歯石をこれでもかと取っていきます。私は唖然としましたが、どのようにスケーリングの刃を入れたり、力を入れたり、しっかり見ていました。

今になってみればこれがアクテｲブ・ラーニングです。さすがに半年もスケーリングをこのように指導受けながら進めれば上手になり、1年も経過すればほぼ何も歯石は残らなくなります。

そしてコース2年目、3年目のオペに入っていきます。

帰国後、当医院で何人かの衛生士に私がイェーテボリのコースで受けたように指導してきました。最初に私が注射をして、2時間で4分の1顎スケーリングを任せます。はじめは力のかけ具合が分かりづらいようで、うまく歯石が取れません。私のイェーテボリ時代と同じです。

模型でも刃の当て方を実習しますが、患者を通しての方が技術は伝わり安いです。みなさん何年かすれば上手になります。最初からスケーリングが出来る人はまずいません。

千葉県歯科医師会の生涯研修委員をしていた時に衛生士向けのコースでスケーリング実習がありました。もちろんほぼみなさんできません。

どんなスペシャリストでも最初から特別ではありません。

師弟関係といっては古く感じるかもしれませんが、やはり直接技術を伝授して学んでいかないと修得はできないのです。

現在、当医院ではメインテナンスの方が多くなり、30分に一人ずつクリーニングをしています。最初はクリーニングで慣れて頂きながら、少しずつスケーリングの患者さんを一緒に診ていきます。

私自身は歯周治療後のブリッジの装着、金属床の装着や時折インプラント治療もあります。ただ基本となるのはスウェーデンで学んだ歯周治療です。

衛生士の仕事として。まず歯周病の管理（メインテナンスが中心で、スケーリングもあります）をして頂きます。ＴＢＩもとても大切です。

治療補助の時間帯はほんの少しです。

私は日本の衛生士に臨床に興味を持ってもらい、少しでもスウェーデンの衛生士のように歯周病の管理を任せられるように自ら指導できたらと考えています。

興味のある方是非ご連絡下さい。
木村守宏
0436-21-1265